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レイは如何にして新血愁の苦痛を克服したのか

レイは如何にして新血愁の苦痛を克服したのか 

北斗の拳」の中で、痛い思いをした人ベスト3を挙げるとしたら、入賞間違いなしと思われるレイ。端正な顔がこんなん↓になるほど痛がってます。

ぐああ.jpg←汗はともかくヨダレは哀しい




 
これでもレイは我慢できてる子なんですよ。同じ程度の痛みをケンシロウからプレゼントされたダカールはこんなに残念な感じに↓。一体どれほどの痛みなんだろうと思うと、背筋が凍ります。

ダカール乱心.jpg←狂乱の末、部下まで巻き添えに


 しかし、初めのうちこそ、一々取り乱してたレイも、次第に平静を保てるようになって来ます。新霊台で治療した後は特に元気そうです。最後には、肩から血を噴きながら、こんな最高の笑顔まで出せるように…(涙)↓。

しあわせにな.jpg←北斗史上、最高の笑顔だ


レイがあまりに平気そうなので、管理人、昔は「新霊台で治療した後は痛みって感じなくなるんだな~」って思っていた位です。



でも、原作をよく読むと違うみたいですね。トキったら、新霊台を突けば「全身をおそう激痛は 今の数倍になる」って言ってるだけ。さらに「その苦痛で この場で発狂し死んでしまうかも知れぬ!!」って(怖…!!)。
 「死ぬほど痛いけど、その時だけ我慢すれば後はスッキリするから」的なことは全く言ってません。

 そもそも、新霊台がそんな都合のいい治療法だったなら、トキだって、もっと早くに「そういう選択肢もあるよ」って提示しただろうと思うんですよね。
 あの痛みさえ無かったら、レイの最後の3日間はもっと実りの多いものになったはずなんですから。マミヤとちゃんと向き合えて。そんなこと[かわいい]や、あんなこと[ぴかぴか(新しい)]だって出来たかも。

 トキがお茶を濁していた言葉を補足すると、「治療は死ぬほど痛いけど、頑張りぬいても今の痛みが無くなる訳じゃないよ~。体が崩壊するのがちょっと止まるだけ♪」という感じでしょうか。
 メキメキメキッ!と体がよじれる発作のような痛みは無くなるにしても、ベースにある苦痛は変わらなかっただろうと想像します。

 レイは健気に微笑んでいる時だって、痛いことは痛かったのだと思うのです。それでも最早「ぐああ!!」とか言わなくなった立派なレイ。レイはどうやって新血愁の苦痛を克服したのでしょう。




 
     ここで、新血愁の性質について、おさらいしておきましょう。
 
ラオウの言葉を借りると、この秘孔を突かれ、「三日間 命を与えられた者は その三日間 死の恐怖におびえ 嘆き そして 悲しみぬく」のだそうです。そして、突かれた者のおびえる様子が「拳王の名を絶大にする」と。

 ラオウ、実は「痛いよ」とは一言も言ってない(痛いけど)。ただ「怖いよ」と言う。この秘孔の一番イヤな所は、突かれた者の精神を攻撃することなんですね。怖がってもらえないと、拳王伝説は伝播しませんから、致し方ないことではありますが。


 すさまじい痛みが断続的に訪れるため、常に「またアレが来る…!」という緊張を強いられること、その痛みが徐々に強くなって、やがて来る肉体の崩壊を予想させること…。
 これ皆、突かれた者に恐怖を味あわせる、という効果を狙ったものでしょう。そして、この「精神的な恐怖」というものが大変に厄介なのです。





 痛快スパイ小説「ジョーカーゲーム」の中で、敵国の過酷な拷問からの生還者、結城中佐は語ります。「人の心を叩き潰すのは、苦痛そのものではない。苦痛への恐怖心、内なる想像力だ。」と。

 そんなことを踏まえて、下図↓を御覧下さい。

いずれこの足も.jpg←痛みの余り内股に

 レイが苦しんでいるのは、痛いからだけではありませんね。「いずれ この足も…」というこのセリフ。これから体のあらゆる部分が、こんなに痛み、ねじくれて、使い物にならなくなっていくというのはどれほどの恐怖であることか。
 まさに結城中佐の語る通り、「内なる想像力」によって「心を叩き潰」されているのです。

 こうして「心を叩き潰」され続けてパニックを起こすと、緊張しきった体は最早、痛みに耐えられません。恐怖がパニックをもたらし、パニックが新たな痛みを呼ぶのです。
 そんな悪循環に陥った時、新血愁を突かれた者の精神は崩壊するのでしょう。気の毒なダカール氏のように。





レイがこうしたパニックに飲み込まれなかったのは、「マミヤのために残りの命を捧げる」という目的を見つけられたからでしょう。おかげで、メディスンシティーに行ったり、ユダの居城へ行ったり、ユダと戦ったりと、病人にはキツい3日間でしたが、それがかえって良かったはずです。
 3日間、ベッドの上で痛みに耐えることだけに精神を集中していたら、ダカールのようになっていたかも知れません。

 レイは「人のために生きる」宿命を持った義星の男。己をなげうち、人に尽くすことで最高の力を発揮することが出来ます。見返りを期待せず、マミヤのためだけを思って行動した結果、レイは激しい苦痛に耐えうる強い精神力を得たのです。

 そうして純化された精神をもって、究極の苦痛とも言うべき新霊台を耐え抜いたレイは御覧下さい、このように↓。

レイ光輪.jpg←下はズボンはいてますよ
 
 後光が差しているのが見えますか。光輪ですよ、俗人の列から外れて聖人になっちゃってるんです。

 それまでセクハラしたり、シスコンだったりと人間的に未熟な面も多々あったレイ。拳の実力も六聖拳としては今ひとつ、という印象でした。しかし、ここで新霊台という通過儀礼を経て、初めて、真の六聖拳として立つことが出来たのではないかと管理人は思うのです。

 こうなるともう、多少の痛みはどこ吹く風、みたいな頼もしさがありますね。今までケンシロウの専売特許だった、主人公補正的な空気感ですよ。いや、痛いことは痛いんだろうとは思いますが、いちいち「ぐああ!!」とかは言ってられんよ、という見事な貫禄です。


しかし、「貫禄がついたから苦痛を克服できた」なんて論調では、考察として余りにお粗末ですね。苦痛を克服する何らかの方法論を提示しなければ。
 という訳で、最後に個人的な体験談を。私、ちょっと新血愁に似た特徴の痛みを知ってるんですよ。(もちろん、痛みの強さは比べ物にならないとは思いますが)

 強い痛みが断続的に訪れること、その痛みが徐々に強くなっていくこと、パニックになると痛みが増すように感じられること、何やら訳の分からない力学によって、自分の体が内側からねじられるような感じも似ています。
 そう、それは陣痛。北斗世代の女子の中には、体験済みの方もいらっしゃるかも知れませんね。

 出せば終わると分かっているから我慢も出来ますが、アレが3日も続いた挙句、最後は「全身から血を噴いて死ぬ」って言われたら、誰でもダカール状態になると思いますよ。実際、陣痛でパニックになって看護婦さんを殴った…なんて妊婦さんの話は珍しくありません。

  妊婦教室では「痛みは我慢してはならない、逃がすものである」と教えられます。痛みに神経を集中せず、受け流す訳です。あたかも静の拳のように。
 
で、必ずやらされるのが「ラマーズ法」。かの有名な「ヒッヒッフー」です。痛みが来たと思ったら、すかさず、「ヒッヒッフー」。呼吸法に集中することによって、パニックを防ぎ、恐怖心を精神から追い出すことが出来る、とされています。

  レイもね、3日間くるしむうちに会得したんだと思いますよ、ラマーズ法。
 新霊台の施術中に、静の拳の男、トキから伝授されたのかも知れません。「この激流のような痛み、受けてはならぬ!引いてかわすのだ!!」と拳士の教えのように。あるいは「痛いと思っちゃダメ!ほらヒッヒッフー!!」と助産婦さんの励ましのように。

 レイは新血愁の痛みを根性で我慢しただけではないのです。痛みを逃す術を獲得し、実践し
た、史上初の男性なんですよ。


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コメント 2

アヒル

ああ~懐かしいですね、ラマーズ法…吐くことに集中しろだの、痛みを
赤ちゃんが出てくるためのものと前向きにとらえろだの…

何と言われようと痛かったですよね。私はたぶんかなり安産だったと
思うんですが、オットなんかに「安産でよかったな」なんて言われたら
分娩台からでも蹴り入れましたよ、きっと。当初は「ん?これが陣痛?」
って感じだったのが、どんどん痛くなってきて、しかも「でもまだこれから
もっと痛くなる」って予備知識…聞かなきゃよかったような、でも聞いて
なかったら耐えられなかったような…ほんとだ、似てますよ。

これを克服したレイ…もしこの後、生き続けることができたら、きっと
マミヤさんの出産に立ち会うときも頼もしかったでしょうね(えらいこと
飛躍してますが)。

それにしても…「下はズボンはいてますよ」って(笑)!!そうでした、
そんな作品もありましたね~。また拝見していきます。
by アヒル (2011-11-03 21:46) 

林蔵

そう、振り返れば懐かしい記憶です。

私も、初産の陣痛はじまったばかりの時は、キチンと痛みの間隔を時計で測ったりしてたんです。
そしたら助産師さんに「そんなに痛みに集中してたら、この先我慢できなくなるわよ」って言われました。
痛みに我慢しようと身構えていると、痛みに対する感覚はかえって鋭敏になるみたいですね。とはいえ、身構えずにはいられないですよ、あの痛みは。

そういう陣痛の「来るかな?来るかな?…来たぁぁぁぁ!!」みたいな感じが、新血愁の痛さと重なるような気がしたんですよ。
痛さが去ったあとのグッタリ感も似てるように思えて。

>何と言われようと痛かったですよね。
そうそう(笑)。痛いものは痛い。
目の前にやらなきゃいけない呼吸法があるので、とりあえずソレにしがみついてたら何とか終わった、っていう感じでした。
まあ、おかげでパニックになるのだけは防げた、のかな?

レイの立会い出産!
考えただけでも笑えますね。熱く、濃く、うっとうしい付き添いになりそう。
マミヤだけではなく、アイリの出産にも立会いたがったりして。
アイリがちょっと痛がるだけで「ぐああっ!」って悶絶しそうです。
「オレが代わりに産む!」とか訳の分からないことを言い出してつまみ出されるかも。

>下はズボンはいてますよ
記事の都合で、画像の下半身をカットしたら、いかがわしく見えたので…。いや、いかがわしく見えるのは、私の心が汚れているからですね。一般的には感動のシーンなはず。

では、コメントどうもありがとうございました!
暑かったり寒かったりですので、どうぞお体に気をつけて。
by 林蔵 (2011-11-04 01:30) 

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